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市長さんのもうひとつの構想である近代漁港の建設の方は、完成した埋立地の突端に、 近代建築の魚市場が開店したばかり。 私が見に行った時は、もう水揚げもせり市もすっかり終わっていて、漁船は漁港の入江に ずらりと並んでもやっていた。 この漁港の近くに水産加工会社の丸海さんがある。この会社の目玉商品“小鯛ささ漬”の 工場を見学する。 上野社長の案内で工場へ入ると、白衣のおばさんが50人ほど、すべてが手作りの作業 中であった。 「みなさーん。ご紹介します。この方は和田さんという漫画家で、私の中学1年先輩で…」 社長の先輩だから私も大いばりである。やっぱり故郷は違う。 ささ漬の材料は、レンコ鯛。パートのおばさんの手さばきはまことに鮮やかで、3枚におろ すスピードは1尾約10秒。1日1,500から2,000タルを生産する。ささ漬の歴史は古く、京都 の料亭におくられ、高級会席料理に使われていた。量産が軌道に乗ったのは現社長の手で、昭和35年ごろからだとのこと。来年は埋立地へ新社屋を建て、ガラス張りの見学コー スもできるというから、ささ漬も一段と名をあげるだろう。 文 和田 義三 (昭和59年)
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